拠点を作り始めた次の日には木を加工した小屋が組み上がる。そして組み上がった木の表面をイクシオーネのハンドイオン砲で軽く焼き炭化層をつくり虫食いや腐食に強い小屋にする。
小屋の外観が全て真っ黒になると粘土質の土を集め小屋の隙間を埋める様に外観を覆っていき小屋の全てが多い終わるとイクシオーネと供に山を歩き苔ににた植物を大量に集めた。
そして集めた苔で土を覆った小屋に隙間無くかぶせていくと少しでも離れるとその小屋は風景と同化し見つけるのが困難なつくりの建物が完成する。
「中に暖炉もつくって排気も問題無いからもしこの地域が寒くなっても大丈夫だろう」
「もしもの時は床下に暖炉の排気通路を作り床暖房にしましょう。ここまで出来ているので新たに小屋を作る方が速いと思われますが」
「森の中をうろつくからもっといい場所もあるだろうしな。さてと次は相棒の小屋だな」
「了解しました。一度体験したので次はさらなる時間短縮が可能です」
よし、やるか!とホシモリは首を鳴らし次はイクシオーネが雨風を凌げる小屋の制作に取りかかる。
イクシオーネの場合はホシモリの様に生活をするスペースがいらないので先ほど建てた小屋の横に穴を掘り固め木を建てて組み上げていく。
途中、少しホシモリの小屋を改造する事になり時間はかかったが陽が傾く頃には小屋は完成した。
「なかなか面白いな。壊れたらまた作るか」
「はい。作りましょう」
泥を塗り苔などを運んだのでホシモリの体はまた汚れていたので川に水浴びに行くついでににそこで魚を捕って夕食にする事になる。
川に着くと前回と同じ様にホシモリは川に飛び込み汚れを落とすが、前回と違う所はイクシオーネが河原の石も持ちあげ重さなどを確認している所だった。
そして川に浸かっている岩をスキャンし始めたのでホシモリが質問する。
「待て相棒。何をするんだ?」
「はい。今日の夕食は魚だ聞きましたので石打漁で食糧を確保します」
「それって大丈夫なのか?電気とか流して取った方が速いだろ」
「石を投げた方が速いです。目標に定めた岩と川底の間に魚が集まっていますので今がチャンスです」
目標に定めた岩に向かって200キロを超す速度で投げられたバスケットボールほどの石は凄まじい勢いで直撃する。そして震動が魚に伝わった様でその辺りにいた魚達はプカプカと浮かび上がり始めた。
ただイクシオーネも製造されてから石を投げて魚を取るのは初めてだった様で思った以上の魚が浮かび上がったのでその光景にホシモリは戸惑う。
「全部喰えと?」
「毒を保有する魚もいるので食べられる数は思ったより少ないです」
本当かどうかは怪しかったが食用に適した魚を教えて貰い流れていく魚を集める。
そして腹をあけて内臓を取り出し並べ近くに生えていた木に枝を取って串を作り頭から尻尾に向けて串を通して魚を焼く準備をする。
ホシモリが下処理をしている間にイクシオーネは薪を集め大きな手で石を並べる。
並べた石に薪を入れ火をつけると魚の下処理を終えたホシモリが魚を火の側に置き焼き始める。
魚の目が白く濁り火が通った事がわかるとホシモリはまずは一匹ほど手に取り口に運ぶ。
「どうですか?」
「美味いな。この星に来てから喰った物で一番美味いな」
「それは良かったです。数はあるので無理に骨ごと食べなくてもいいと思いますが」
「イクシオーネが言う様に魚は大量に取れていたので身だけを食べ焼き魚を満喫した。
全てを食べ終わり骨など燃やして水をかけ今日完成した拠点に気分良く戻ろうとするとイクシオーネの集音センサーに変わった音が引っかかった。
「相棒。少し待ってください。少し変わった音を一瞬だけ拾いました」
「ん?データ上にある音に似ている物はあるか調べられるか?」
解析しますと行ってイクシオーネが拾った音の波長をデータベースにある音と照らし合わせていく。
かなり過去のデータと照らし合わせているようで少し時間がかかったが照らし合わされたデータをイクシオーネは告げる。
「解析した結果ですが。車輪が地道を走る音が一番近いという結果がでました」
その思いもよらぬ答えにホシモリはとても驚く。
「って事は……聞き間違えじゃなかったらそれを作れる知的生命体がいるって事か」
「はい。どういう生命体かまでは判断できませんでしたが」
どうしますか? とイクシオーネが判断を求めるのでホシモリは少し考えてから答える。
「距離と方角はわかるか?」
「はい。大丈夫です。川を渡り西南西に役2.6キロの距離になります」
「着く頃には真っ暗だが……生命体がいるなら夜はこちらを判断しにくいだろうから動いた方がいいな……クローク機能は使えるか?」
「はい。問題無く使えます」
「よし、じゃあ向かおう。どんな生物かも判らないからなまずは音の発生源を確認し何か生命体がいれば俺も相棒もクロークして様子を見る」
「了解しました。コックピットにはコアモジュールがあるので搭乗する事は不可能なので少し危ないですが私の上部に乗ってください。川を渡ります」
「了解っと」
屈み手を差し伸べたイクシオーネ飛び乗るとそのままホシモリを自身の上部に乗せて川を渡り目的地に向かって進む。
イクシオーネもホシモリも暗闇でも何の問題も無く見えるので上部でダストレールガンを構え辺りを警戒し移動はイクシオーネに任せ森の中を進んでいく。
全長七メートルを超えるイクシオーネがある程度の速度で森を駆けると静かに気配を消しながら言う訳には行かなかったができる限り目的の場所へと急ぐ。
そして音を拾った場所にたどりつくとそこにはあきらかに舗装された道があり車輪が通った轍の跡が見つかった。
森の中から辺りを警戒し舗装された街道の様な道にでてホシモリとイクシオーネは街道や音がなった辺りを調べる。
「地道にしては少し硬く舗装されてるな……そっちはどうだ?」
「はい。音の発生源を特定しました。山から岩が転がりそれを車輪が踏んだようです」
そう言ってその岩を摑みスキャンをしてホシモリにデータを見せると車輪に使われたであろう木材片が見つかりそれは森で見かける木とよく似た木材だった。
「ただ木で出来た車輪であればこの街道にも繊維が付着しているはずですがそれは発見できません」
「って事はタイヤでもついているのか?それだとゴム片がみつかるよな?」
「はい。ゴムやそれに近いシリコンなども発見できません。可能性は低いですが浮いている事も考えられますが……車輪がついていて浮いている意味が分かりませんのでそれに関してはほとんどあり得ないかと」
「キツい山道だけ何かを浮かしているって運ぶって事もあるか……よし。もう暗くなってるから俺達を見られる可能性は低いと思うから少しこの山道を調べてみるか」
「判りました。もしこの轍をつけた物が通った時の為にライト等は全て消して起きます」
「ああ。義眼の方なら全然見えるから問題ない」
そしてホシモリとイクシオーネは街道を調べ始める。
調べ初めて判った事はこの街道を跨ぎ森をわたっているようで様々な動物足跡などが見つかりその中に靴跡のような足跡も数種類見つかる。
そして車輪に当たった岩の付近をイクシオーネがサーチすると小麦粉によく似た物で作られたパン屑に似た物も見つかる。
「これだけ出てくると確実に知的生命体はいるな。車輪ぽいのもあるしパンぽいのもあって靴跡か」
「ここまで出てくるとかなりの可能性で人型と思われます」
「襲いかかってくるような奴だったら嫌だな……言葉は通じないし」
「文明が発達していない星では良くあるのでお互いに気をつけましょう」
この街道の位置をイクシオーネにマーキングして貰い街道を調べながら歩いていると、また集音センサーに音が引っかかる。
報告する前にイクシオーネがその方向を向くと暗視カメラに煙が上がっているのを発見する。
「相棒。この星の住人が火を使っています。煙が出ているのが見えますか?」
ホシモリもその方向を見ると確かに森の一角から煙が上がっていた。
「ほんとだ。山火事ならあんな煙の出方はしないから……誰かが火を使っているな。ここからのだいたいの距離がわかるか?」
「はい。ここから直線で1.8キロになります。山だと言う事を考慮し悟られない様に行くのであれば30分もあればつきます」
「分かった。不用意な接触はさけあの煙の主を特定する」
「了解しました。危険度を引きあげ戦闘モードへ移行後。速やかに索敵を行い現場へ向かいます」
一人と一機は煙が見えている方向に向かって歩き始める。ただ先ほどと違うのはホシモリもイクシオーネも連合軍での任務を行う時の顔つきになっておりホシモリからは一切の足音はせずイクシオーネに至ってもほとんど物音が鳴らない程に静かだった
森の中をいどうする途中でこの近くをイクシオーネがマッピングしていたので目的の場所を見下ろせる場所がある事に気がついたのでそちらへと向かう。
そして目的の場所にたどりつきホシモリとイクシオーネが煙が出ている場所を見下ろすと、そこにはホシモリが声を上げそうになる生物が存在しイクシオーネもとても驚いていた。
「どう見ても人間……というよりは地球人だよな?」
「はい。ここは地球ではありませんが関節や筋肉の動きがとても地球人に似ていますが地球人ではありません」
その地球人に良くにた生き物は洞窟の前で見張りをしているように二人が立っており近くのたき火に二人ほどあたっていた。
そして木とは違う材質で作られた折の様な物の中に五、六人が入っており力なく座っている様だった。
ホシモリもイクシオーネもその生物が何か話している様だったので口元を確認するが言葉は分からないようだった。
「別の星だしな。当たり前だが男と女がいるんだな」
「差別発言を感知。気をつけないと厳罰を受けます」
「別の星だから男女で問題ないだろ。それは置いといて相棒は人がいる事をどう思う?」
「はい。宇宙を無限と考え原子や物質全ての物をカードに例えて手札を切って行くと、無限にカードがあるのでいつかは手札がかぶるのでおかしい事は無いと思います。驚きはしましたが」
「……こうやって別の星で似た生き物をみると猿から進化説より神様が作った説も信じられるよな」
「未だに答えはでていないのでとても考えさせられます。後、未知の生命体に拉致されたか何らかの事故でこちらに転送され地球人がここで繁殖した可能性もあります」
洞窟の前にいる人達は夜に紛れているホシモリ達に全く気がついていない様だったのでホシモリはそのまま観察を続ける。
その人達は鉄製の剣や木製の弓やクロスボウを所持しており防具は急所を守る胸当ての様な物を身につけていた。
そして檻に入れられた女性達は防具を身につけている者もいれば布地の服だけの者もいた。
またしばらく観察していると洞窟の中から別の男たちが女性の髪を掴み引きずりながら牢屋へと入れてからまた洞窟へ戻っていく。
「あのでっかい鳥で馬車を引くんだろうなそんな感じの鞍がついてるし。それで相棒はどうおもう?」
「女性をあのように扱うと団体から訴えられ懲役50年が決まります」
「連中はうるさいしな……」
「同意します。あの檻に入れられた女性達の顔には殴られたような痣があり地球人でいう恐怖やおびえと言った感情が表情に表れています」
「違う星だしそういう文化と言われればそれまでだけどな。実際は寿命が近くなると身内を食べる習慣の宇宙人もいるしな」
「はい。女性側が何らかの犯罪を行い輸送されている可能性もありますが……人目につかない場所にいるので何かはあると思います。ですが」
「人身売買に見えますだろ?相棒」
「はい。正解です。制圧しますか?」
「人がいるんだから街があるだろうし……殺さずに捕まえて連れて行くか。もしもの時はいくらでも逃げられるだろうしな」
「分かりました。では戦闘モードに再度以降します
すっかりやる気満々のイクシオーネにホシモリは慌てて待ったをかける。
「まてまて。ここまで話していて気づかない連中だ俺一人で十分だろ。迂闊に知的生命体に兵器を見せたら駄目って法律あっただろ」
「宇宙国際法第45条に該当しますが、今回は私の搭乗者であるツグヒト・ホシモリが遭難という危機的状況なので該当しません」
「車輪の話じゃないが、完成した形を知っているだけでどれだけ技術が進むって話だもんな」
「はい。地球に人類が現れ車輪を開発するためにとても長い時間を有してします」
「そういう訳で俺一人で行って来るから危なくなるまでは待機な」
「了解しました」