プラネットレギオン 第4話 生物

「あれか……言葉とかが分かるほど生物が進化してない感じか?」

「はいそのようです。この個体だけという事は無いはずですので調べればコミュニケーションを取れる可能性もありますが……放っておいていいでしょう」

「じゃあ適当に追い払って行くか」

「了解しました」とイクシオーネが頷いた瞬間に目の前の大きなトカゲがホシモリに向かって飛びかかったのでイクシオーネはすぐに両者の間に入り自身の左腕でオオトカゲの噛みつきをカードする。

「大丈夫ですか?相棒」

「おう。ありがとう。噛まれてるけど大丈夫か?」

「はい。この生体の咬合力では私の装甲に穴を開ける事は不可能です」

 イクシオーネは鉄より遙かに固い材質でできた拳を握りこみ、右拳をオオトカゲの顔面に叩きつける。

 オオトカゲの顔の形が大きく歪み数本の立派な牙が折れた後に数メートルほど吹き飛ばし地面を転げ回った。

 まさか自身が反撃をくらうと思っていなかったオオトカゲは滑落するような速度で崖を駆け抜け逃げていった。

「あれぐらいだと俺でも倒せるな」

「はい。問題は無いですが解析されていない毒などがあった場合に供え私が戦った方がいいかもしれません」

「触っただけでアウトな毒ってあるもんな」

「惑星探査用のプラネットなら物質等を調べるの容易ですが、私のタイプは戦闘型の拠点防衛型なので時間を要します」

「何を今更言ってるんだが、こんな訳も分からない星にいるんだから何より火力が無いと生き残れないだろう。さてと下るか」

「了解しました。落石等には十分に注意してください」

「しっかしこの高い山から見てるのに建物が見えないって事は文明を作る生き物はいないのかね?」

 山を降りながら自身の義眼を操作し人間には見えない距離まで見ているがその瞳には森や高低のある丘が広がっているだけで人工物は一つも見えなかった。

 イクシオーネの同じ様にメインカメラを動かし辺りを探るが人工物はまったく写らず、代わりにかなり遠くに巨大な鳥が群れで飛んでいるのをホシモリに伝えた。

「さっきのオオトカゲにしろあおのデカい鳥にしろあんなのがいるならそこまで文明は発達しなさそうだな。オオトカゲとかも一般人じゃ絶対に倒せないだろうし」

「その可能性は大いにあります。争いが多い惑星は知性をもつ生命体の進化の速度が遅いというデータが出ています」

「仮に人がいたとしてもさっきのにしたらいい餌だしな」

 危ない崖などは迂回し足元に生えていた植物などをイクシオーネのデータと照合し照らし合わせたりもするが似ているだけで全ての植物が未発見の物だった。

 耳が体より大きな兎の様な生きが群れでこちらを警戒し、そんな生き物に手を振ったりして一人と一体が進んでいくが思った以上にホシモリ達が降り立った場所は険しく、丁度あった岩がせり出した場所で雨風を凌げる場所があったのでそこで休息を取ることになった。

 ホシモリが近くで枯れ木を集めイクシオーネがせり出した岩が崩れないかを確かめ危険な場所があれば岩を運び補強する。

 集めてきた枯れ木を纏めてヒートナイフで火をつけ、自身の体温を逃がさない様に暖を作る。

 イクシオーネも火の近くに座りホシモリはイクシオーネに収納にした携帯食料を取り出し火の近くに座った。その頃には夜の帳がおり空には星々が顔を出していた。

 その星々を見ながら静かに携帯食料を食べるホシモリの横でイクシオーネは星を観察していた。

 ホシモリが食べ終わったのを確認してからイクシオーネが話しかける。

「全ての天体データを解析しましたが一致する星が存在しません。この惑星は間違い無く未発見の惑星になります」

「それっぽい気はしてた月っぽいのも見えるがあれも似てるだけで自分で発光してる星っぽいしな」

「はい。あれも未発見の星です。訂正します。この空に映る全ての星がデータベースに存在しません」

「なるほどな」

「冷静ですね。相棒」

 イクシオーネの言葉に少し考えてから星を見上げ寝っ転がりながらホシモリは連合軍に帰還できる可能性を尋ねる。

 ホシモリの気のせいだったかも知れないがイクシオーネは少し言いづらそうに1%にみたないと言い、人のような知性がある生き物がいた場合は1%まで上昇すると伝えた。

「宇宙文明レベルが1でもあれば飛行機くらい飛んでるしもっと大気が汚染されててもいいもんな」

「0,7もあれば液体燃料を使った航空機の製造が可能です。それが飛んでいないとなると知的生命体がいたとしても私達が帰還できる可能性は低いです」

「一人だったら絶望しているかも知れないが相棒もいるしな。何とかなるだろ。と言うか俺達がレギオンの試験受けた時に比べれば温いからな」

「そうですね相棒。あの時は連合軍に敵対する生命体が生息する惑星にワープさせられその巣破壊でしたね」

「俺達以外は全員死亡だし強酸の海に酸素とか全く無い惑星だしプラネットから降りた時点でアウトだったしな」

「過ぎれば良い思い出と聞きますが全くそんな事は無い任務でした。できれば私もデータベースから消去したいデータです」

「あの時初めてお前にあったんだよなー。あの時はどうなる事と思ったけどな」

「作戦中。計436回私の事をポンコツ扱いしたのはとても良く覚えています」

「それは消していいデータだぞ」

「駄目です」

 自分達が全く知らない世界に飛ばされ帰る事はほぼ不可能だと一人と一機は分かったが連合軍に帰還する事を最終目標に設定し行動する事を決めた。

 そうしている内にホシモリの体に疲れが思った以上にでたのかイクシオーネが睡眠を取るように促す。

「相棒。そろそろ睡眠を取ってください。いくら強靱な戦士といえど十分な休息が必要です」

「分かった。悪いが見張りは頼むぞ」

「了解しました。体温が落ちない様に火の番もしておきます」

「分かった。何か来たら起こしてくれ。それと言い忘れたが俺の最後は相棒が看取ってくれよ」

「了解しました。構造上、私の方が長く活動できますが……新型機が出た場合は乗り換えをオススメします」

「言ってろ。……おやすみ相棒」

「はい。おやすみ相棒」

 ホシモリが眠りについたのを確認してから、眠りを邪魔しない様に火に薪をくべ、辺りに自分達を襲う肉食動物がいないかをセンサーなどでチェックする。

 ホシモリが起きるまで六時間以上はこの場で待機が必要になるので辺りを索敵をメインに大気を混ざる気体などを調べ時間を潰した。

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