ワープポッドの中に兵器の類いはほとんど詰まれていなかったが、数日分の携帯食料と携帯型の液体濾過器等が入っていたので一度全て外に出して並べる。
「食料と濾過器はありがたすぎるな……後はヒートナイフとダストレールガンが俺用だな。充電もされてるしワープ事故も想定されてたのか?」
「その可能性は大いにあります。敵地に転送される事も考えてでしょう」
「にしては貧弱装備だけどな。そっちのグレネードとミサイルは使えそうか?」
「はい。問題ありません。右肩のショルダーランチャーからミサイルは発射可能です。十発ですが直撃させれば新型のプラネットも楽に沈みます」
「そいつは頼もしい。グレネードは?」
「どちらもスモークタイプです、一つは電磁スモークで対象が人であった場合は感電させ自由を奪うかそのまま殺害します。対象がプラネットだった場合は感電により兵装を無効化します。そしてもう一つはナノソナースモークです」
「……なんでそんな高級品が載ってるんだよ。そのグレネードって煙幕内の対象にナノマシンが干渉しステルスしようが何しようが全部モニターに映るんだよな?」
「はいそうです。付け加えるならナノマシンが人の脳にまで侵入すると対象をプラネット側で操れます。……たぶんですが横流しでしょう」
「……そんな事やってるから基地の情報が帝国に流れたんだろうな」
「はい。帰還した際には上層部に伝え調べてもらう必要があります」
そんな話をしながらイクシオーネは左右大腿部のパーツを開きグレネード詰めていき、右肩のショルダーランチャーにミサイルを詰めていく。
ホシモリは自身が装備しているジャケットに手に入れたヒートナイフを装着し、ダストレールガンを起動し使えるかどうかを確認し始める。
「……空気中に塵が少ないから弾ができん」
「その型式番号なら足元の砂利等でも可能です」
凄いなと呆れながらホシモリが足元の砂利を手で掬い銃のグリップに入れて閉めると、弾を生成していますと宙に文字が浮かび上がる。
そして十秒もしない内に弾が完成したようで弾丸の数が本体に表示された。
そして試し打ちをするのでイクシオーネにデータを取るようにホシモリは頼み数百メートル先の尖った岩に目標を定めた。
「細かいデータを表示させますか?」
「いや、俺の義眼でもある程度のデータは出るしこれぐらいの距離なら勘で当たるだろ」
そう言って軽口を叩きながら引き金を引くと空気を切るような音がした後に弾丸は目標に命中し砕け散った。
「流石は相棒。惚れ惚れする狙撃技術ですね」
「当たった本人が一番驚いているけどな。ダストレールガンも問題無いな。おれの装備も元から持ってた超振動ナイフもあるし……何とかなるか」
「それだけ狙撃技術があるのに接近戦のスペシャリストですから人と言うのは面白いですね」
「俺にナイフ技術を叩き込んだガットマン教官に言ってくれ。と言うか俺がいた兵舎は皆これぐらいやってたぞ」
「兵力で上回る帝国が押されているのがよく分かった気がします」
それから残ったワープポッドに使える物が残って無いかを調べホシモリ達は山を下りる準備を進める。
ワープポッドの詰まれていた物資をイクシオーネに搭載し残ったポッドをどうするか? とホシモリは相棒に相談する。
「これだけで何ができる訳でも無いがどうする?外装は軽くバラして相棒の壊れた装甲を補おうと思うが……」
「私の装甲に比べれば性能は落ちますがワープに耐えるほどの素材ですから応急措置には十分です。ポッド内のコアモジュールですが電力さえ確保できれば使用用途は多岐にわたります」
「じゃあバラして出発だな」
「はい。ですが問題があります。コアモジュールは大きく精密機械なので迂闊に大気や衝撃に触れることは避けた方が良いのでコックピット内に保存という形になります。ですので相棒が私に搭乗するのが不可能になります」
「かと言って連合軍に連絡するにはコアモジュールがいるようになるだろうしな。ここに帝国のプラネットがいるとは思えないし大丈夫だろ。余程の時はコアを捨てて俺を乗せてくれ」
「了解しました。ワープポッドの外装ですが私のデータにあった合金と一致しました。先ほど手に入れたヒートナイフの形式ならば最大出力を出せば切断が可能です」
「了解っと。宇宙航行技士の資格を取ってるからワープポッドの何処に何があるとか分かるな。勉強って大事だな」
「知識があって楽しめる事も多いですからね」
ホシモリが切断しやすい様にイクシオーネがワープポッドを支えヒートナイフの出力を最大にに設定し外装に刃を当てると切れ味の悪い包丁で肉を切る様にゆっくりと切れていく。
刃の本体から人体に熱が伝わる事は無かったが外装が切断された部分は赤くなり触れば簡単に火傷するほどの熱を発生させた。
「今の状態で切断を続けると熱せられた外装が高温になり周りの温度が上がるので、適度な休憩と水分補給をお願いします」
「あいよ」
言われた通りに時折、休憩を挟みホシモリは慣れた手つきでワープポッドを解体し、外された外装をイクシオーネが丁寧に並べいった。
そんな作業を三時間も続けているとようやく終わりも見えて来た様で先ほど話していたワープポッドのコアが露出する。
球体でできたコアは様々なケーブルで繋がれており感電しないようにイクシオーネがエネルギーの流れを見ながらホシモリに指示をだす。
そしてワープポッドからようやくコアが取り外され、イクシオーネがハッチを開きホシモリがいつも座る座席に乗せて動かない様にシートベルトで固定する。
「ケーブルとかはどうする?持って行くか?」
「必要な物ですが全てを持って行くとなると重量過多になるので置いていきましょう」
「よっぽどいる時は取りに来ればいいしな。この位置を登録しておいてくれ」
「了解しました」
言われた通りにイクシオーネは位置を登録し、ホシモリは並べられ外装に寸法等を書き込んでいく。
イクシオーネ正確なサイズや形を教えてもらいそれに合わせて先ほどと同じ様にヒートナイフで外装を切断して行く。
指示通りにカットした外装はプラモデルをはめ込む様にイクシオーネのボディーにぴったりと合ったのでそれに気を良くしたホシモリは残りのパーツを切断して行く。
全てのパーツが完成しイクシオーネに取り付けが終わる頃には陽が少し傾いていた。
「良し完成っと。動きを阻害するとかないよな?」
「はい。問題ありません」
「じゃあ日も傾いて来たし山を下るか……と言うか今更なんだがあの恒星って太陽じゃないよな?こんな惑星が太陽が見える位置にあるとか聞いた事はないが……」
「近くで識別した訳では無いので正確な事は省きますが、私達がしっている太陽にとてもよく似た恒星です」
「なるほどね……まぁ他の銀河でも似たような星もあったしそこまで気にする事もないか。太陽っぽい星があって大気があって水があって植物があるとなると生命体が存在しても不思議じゃないな」
「はい。これだけの好条件がそろっているなら存在しない確率の方が低いです」そう言った瞬間にイクシオーネの大気探知装置が反応する。
「相棒。少し気をつけてください。全長15メートルを超える生物が時速約50キロでこちらに向かっています」
「了解。意思疎通ができればいいんだけどな」
ホシモリとイクシオーネが自分達の方向にくる生命体に戦闘の意思はない事を伝える為に両手を挙げてまっているとその生命体が目視できる距離に現れた。
その姿は地球という星に存在するトカゲという生き物にとてもよく似ており、岩山を楽に移動できる様に前足と後ろ足の筋肉がとても発達しており岩等にひっかっかる様に爪も大きく発達していた。そして口元には肉食獣を思わせる立派な牙が生えていた。
「他の星にも似た様のがいたがあれもトカゲって名前がついてたからコイツもトカゲでいいな……話しかけてみるか」
「はい。おねがいします」
「ないすつみーちゅー?」
ホシモリの呼びかけに目の前の巨大なトカゲは唾液を垂らし一人と一機の様子をうかがっている。
「まぁ……別の星で言葉が通じる訳ないよな」
「正確な発音はNice to meet you.です。相棒の発音に問題があるのでは?」
「ねーよ!悪いが適当な星の言葉で話かけて見てくれるか?」
「判りました。やってみます」
ホシモリに言われた様にイクシオーネは連合国公用語や帝国語、様々な星の言葉で話しかけるが目の前の生物には伝わらない様だった。