プラネットレギオン 第13話 組合

 ガーランドからもらった地図と建物を照らし合わせ自身のいる場所が把握できたホシモリはハンター組合と呼ばれる場所に向かっていた。

 その道中で町並みも気にはなるがイクシオーネから送られてきたデータを義眼に映しレムザスのスキャンされたデータを見て頭を悩ませる。

『この大きさと重量の物がこの速度で動くのは凄いな』

『はい。私達が魔法と呼ぶ様にしたエネルギーで重力が緩和されているようです』

『この中央のコアっぽい所から血管みたいに魔法を伝って動いてる感じか……関節部やシリンダー部も雑だが動くんだな』

 レムザスのデータを見ながら頭を悩ませるホシモリにイクシオーネは材質のデータなども送りレムザスに使われている素材を表示する。

『最も多いのが鋼鉄で次にプラチナなどが使われています。エネルギーが通る場所にはゴールドなどが使用されてタングステンなども確認できます』

『このウンコマンって書かれた所は?』

『unknownです。未知の金属が使われている場所です』

『…………安直に読むと読めるよな!』

『逆ギレを感知。そういう事にしておきます』

『コアっぽい所とか重要な所と……可動部にも使われてるのか……少なくとも五種類はあるな』

「はい。合金の様に鋼鉄と混ざっている場所もあるので細かく分ければまだあります」

 義眼に写るレムザスのデータを読み取り各部に使用されてい金がこの星にあった事をホシモリは安心しる。

 金があればイクシオーネにバッテリーの接続部を修理しエネルギーの供給が可能になりある程度の自己修復機能が使えるようになるからだった。

「似た様な金属は使ってるな……とりあえずは金だが……そう言えば金貨もらったな」

 ガーランドから人攫いの懸賞金として革袋に入っている150枚の金貨の内一枚を取り出した。

『正確な材質は私が直接スキャンをしなければ確認できませんので後で合流しましょう』

『了解っとこれで足りれば話は早いけどな』

『その金貨で先に生活基盤を整えるのが先です』

 イクシオーネを直すのが先だろうとホシモリは言おうとしたが変な所で頑固なのはホシモリが一番分かっていたので了解と言ってから話を続ける。

『それで?俺の方の取り調べに関してはどう思う?』

『アズスベルン・ガーランドやその近くにいた男性の瞳孔の動きや声の波長を調べましたが嘘は感知できませんでした』

『訓練つめばできるが……その辺は大丈夫か』

『はい。洞窟にあった金品を女性達に譲ったのはどうしてですか?』

『余計な事を言わない様にって事と別の国の奴もいたからな帰るにしてもここに住むにしても金がいるだろうしな。その辺はガーランドさんもガチガチの軍人だから任せていいだろう』

『なるほど判りました。でしたら私の方からは言う事は何もありません。知性ある生物の会話に成功しましたので次の目標はどうしますか?』

『この町で一ヶ月ほど済んでみてこの世界の常識と言葉をある程度覚える。それから魔導工業都市ハイテン……いや王立都市に行ってレムザスの資格を取るつもりだ。それさえ取ってしまえば偽装して相棒を中型のレムザスと偽って連れられるしな』

『了解しました。生活拠点は王立都市の予定ですか?』

『ああ。そこでレムザスの製造とかをやってるらしいからな。技術レベルの確認とかだな。そこなら材料もある程度揃えられるだろうし、色々作っても怪しまれないだろうしな。この星には銃もあるっぽいしな』

『銃でしたらすれ違った兵士達が持っている物をスキャンしておきました。私達が知っている銃とは似ているのは形だけの様です。後で確認してください』

 そこで話は終わり目的の建物が見えてきたのでホシモリは分厚い木でできた重厚な扉を開けて中へと入っていく。

 中に入ると外と同じように木を基調とした作りでいろいろな物が作られていた。

 明るさもランプの様な物の中に光る石が入れられており、それはホシモリの想像以上に当たりを照らしてしたのでとても明るかった。

 助けた女性やガーランド達に比べればホシモリの服装は変わっていたので少し浮くかと思っていたが……それ以上に羽の生えた人や動物の耳や尻尾や鱗などがついた者達がいたので特に目立ったりする事は無かった。

 エントランスを抜け少し歩くと建物中央の様な所に来ると外から見るより中は大きく見上げると二階、三階へ上がる階段が確認でき天井には大きな模様が入ったガラスがあり外の明るさを取り込んでいた。

 その場で周りの人に邪魔にならない様に中にいる人達を観察すると同じ服を着た人達が色々な人に質問されたり案内をされていたのでホシモリも近くにいた人に話しかけた。

「すまない。少しいいか?」

「はい?どうかしましたか?」

 紺色のを基調とした服を着た女性に話しかけるとガーランドが教えてくれた様に言葉は伝わる様なので少し安心してから話を続ける。

「別の星……国から来てここに来れば仕事を紹介してもらえるとの事なんだが」

「外国の方ですね。ようこそエンドミルへ。ここをまっすぐ行っていただけると受付があるのでそこで手続きをお願いできますか?」

 その女性がその方向へ手を向けたのでホシモリもそちらを見ると奥の方にカウンターが見えそこには同じような服を着た人達が見えたので礼を言ってからそちらへと向かった。

 少し込んでいたので大きな剣を背負った二足歩行のトカゲの後ろに並び順番を待つ。

(んー……人間と同じ種族もいたし恐竜人類っぽいのもいるんだな。この星はどうなってるんだ?確かに地球には似ているが……種族が多すぎだろ)

 そんな事を考えながら周りをキョロキョロして観察しているとホシモリの番が来たようで、受付ごしに座ってくださいといわれ着席をする。

「ようこそハンター組合へ。本日はどういったご用件ですか?」

「旅をしていて金がなくなりそうだからこの町に立ち寄ったんだ。それで兵士さん達に何処か金を稼げる所が無いかと聞いたらここだと言われたんだが……何せ初めての土地何でなどうしたらいい?」

 男性職員にそう尋ねると分かりました。少々お待ちくださいと言い奥へと行き何かの紙や水晶と言った様々な物を持って戻って来た。

 そして水晶の様な物を端に起きてをかざすと青白く光り、ホシモリにこの紙にご記入くださいと用紙を羽がついたペンとインクを渡す。

 読めないだろと思いながらその用紙に目をやると何故か書かれたいた文字の上にホシモリが知っている言葉が浮かび上がり読む事ができた。

「これも言葉が通じる様になる魔法とか言う奴の効果だったりするのか?」

「はい。厳密には違いますが似た様な物です。ですから貴方の国の言葉で書かれた文字でもここの職員は読む事が可能です」

 自分の知らない技術は少し怖いなと思いながら自分の氏名や年齢を書き込んでいき、全てが書き終わるとその用紙を目の前の職員に手渡した。

 そして書き込まれた所に不備が無いかを確認した後に置かれた水晶を少し見てからホシモリに向き合った。

「ツグヒト・ホシモリさんと言う名前で年齢は……お若く見えますね32歳ですか?二十代前半に見えますね」

「ああ。よく言われるが32には見えないらしい」

 ホシモリの実年齢は32歳なのだが、体に様々な強化臓器等があり定期的にメディカルナノマシン等で体内の悪い所を修復していたので肉体の年齢は二十台前半で止まっていた。

 職員の質問に答えていると机の端にあった水晶がたまに色が変わる事にホシモリは気づき、自身の記憶にそれと似たような物があったこ事を思い出す。

(嘘発見器っぽいな……嘘ばかり言う奴に仕事とか紹介できる訳ないしな。他国の人間も多いと聞くしそらそうか)

 嘘をつくのもどうかとも考えたが別の星から事故で飛ばされた兵士とかいう訳の分からない存在だったので連合軍で訓練された嘘発見器に全く感知されない能力を使い質問に答えていく。

 するとその能力はこちらでも使える様でそれ以降は置かれた水晶の色がかわる事は無かった。

「ではホシモリさんは何処かに国で暮らしていると言うよりは旅をしながら世界を巡っているんですね」

「ああ、そういう事。まだ手持ちはあるが……次の街に行くのにどれぐらいかかるか分からないから少し稼いでいこうと思ってね」

「分かりました。嘘は言っていませんね。信用できる人物だと判断しましたので仕事の事を説明させて頂きます」

 ホシモリは白々しくどうやって信用できる人物だと判断したんだ?と尋ねるが男性職員は企業秘密ですと言い、外国とは言え犯罪者等に依頼を受けてもらう事はできませんからねと笑った。

「兵士さん達からここの事を聞いたと聞きましたが何処まで聞きましたか?」

「色々な仕事を紹介してくれる何でも屋の様な所だと教えてもらった」

「判りました。基本的にはそれで合っています。ホシモリさん右後ろを向いてもらえますか?」

 ホシモリは体を捻りその方向を向くと巨大な六方晶の水晶のような物があり周りには沢山の人が立っていた。

「あの水晶から依頼を確認でき自分のレベルにあった物を受けられる事になります」

「近くに行くとあの水晶に字とか写るのか?皆、水晶はみてないと思うが……空中に浮かんだ何かを見てるよな?」

「その事はいまから説明します。ホシモリさんこれをどうぞ」と言って差し出された腕は銅の様なものできておりその中心には宝石の様な物が取り付けられていた。

「その腕ははハンターが依頼を受ける為の腕はです。腕につけてその中央の宝石を押してみてください」

 ホシモリは言われた通りに腕にはめて中央の宝石を押すと青白い半透明なモニターが現れた。
 それはホログラムの様な物で触ろうとしても触れずホシモリの手は空を切った。

「ほー。凄いな」

「今の様に水晶の近くでその腕輪を使うとほの空欄にホシモリさんが受けられる依頼がのります。試しに仮の依頼を送りますので確認してください」

 そう言って職員が手元を操作するとホシモリが見ていたモニターに依頼内容が表示され、受諾するか拒否するかが右下に現れた。

「受けるのであればその右下の受諾を腕輪の装着した方の腕で触ってもらえれば大丈夫です。仮に間違って受諾した時でも三分いないであれば拒否は可能のです」

「なるほど……受けてから怪我して無理になったとかはどうなるんだ?」

「依頼失敗扱いになります。時間が決められてない依頼であれば問題ありませんが、緊急な物や時間制限があるものの失敗を繰り返すと依頼を受けられなくなったりランクが下がります」

「仕事だもんなそらそうか。それで?ランクって言うのは?質問ばかりで申し訳ないが……」

「仕事ですから大丈夫ですよ。それを今から説明しますね。下から順番にブロンズ・シルバー・ゴールド・ミスリル・オリハルコン・エンペライトの順にハンターの格付けが決まっています」

「依頼をこなして信用を上げていくって感じか?」

「はい。金属の価値に由来した順になっています。確かに信用もありますが魔獣や魔物と言ったものと戦う依頼も多いので上に上がるのはかなりの戦闘力が求められます」

「なるほど。ブロンズはルーキーって事だな」

「はい。説明の為にブロンズ腕輪を渡しましたが……ホシモリさんは旅をしているとの事なので戦えると思うのでここの教官と模擬戦をしますか?そこで戦闘能力が分かれば一つ二つ上のランクの依頼を受ける事も可能です」

 その方がお金だけを稼ぐなら効率は良さそうだったがホシモリはそれを断った。

「ある程度は戦えると思うが……止めとく。痛いのは嫌だし下積み時代は大事だからな」

「分かりました。細かい事などは資料でお渡ししますので時間がある時にでも読んでおいてください」

 分かったと返事をし、気になった事を職員に質問していく。良い職員に当たった様で特に嫌な顔もされずにホシモリの質問に職員は答えていく。

 そしてハンター組合での聞きたい事を聞き終えたホシモリは他の事を質問する。

「それで職員さんすまないが……小屋を借りようと思っているんだが何処かないか?」

「小屋ですか?」

「ああ。いつかは荷馬車でも買おうと思ってな」

「なるほど……何件かツテはありますが……街だと言葉はつうじませんね。少しお待ちください」と言って紙を用意し文字を書いていく。そして書き終わるとその紙に印鑑を押した。

 そしてホシモリに地図を持っているかと尋ねたのでガーランドからもらった地図を取り出すと断りを入れてからその地図に丸をうつ。

「この丸の売った場所がハンター組合と付き合いがある家等を管理している商人の店舗です。ここにいってこの紙を見せれば紹介してもらえると思います」

「助かる。ありがとう」

「ですが……ホシモリさんは街では言葉は通じないのである程度はぼったくられると思ってくださいね」

「その辺は仕方ないな。それで言葉なんだが……勉強する本とかないか?兵士さんが言うには脳に直接覚えさせるのはあると聞くがそれは怖いから無しで」

「ありますよ。持ってくるので少し待ってくださいね」といって男性職員は奥へと向かっていったのでホシモリは帰って来るのを待った。

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